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感染症:不和合虫放飼法と不妊虫放飼法の組み合わせによる蚊の除去
Nature 572, 7767 doi: 10.1038/s41586-019-1407-9
放射線に基づく不妊虫放飼法(sterile insect technique;SIT)は、いくつかの害虫種の野外個体群の抑制において成功を収めているが、媒介蚊の制御に対するSITの効果はこれまで限定的だった。関連した手法である、母性遺伝したボルバキア属(Wolbachia)の細胞内共生細菌によって引き起こされる不妊を用いる不和合虫放飼法(incompatible insect technique;IIT)は、有望な代替法だが、放飼した雄と同一のボルバキア株に感染した雌が偶発的に放たれることで効果は損なわれてしまう。今回我々は、IITとSITを組み合わせること(IIT–SIT)で、世界で最も侵略的な蚊であるヒトスジシマカ(Aedes albopictus)の野外個体群をほぼ完全に除去できたことを報告する。実験では、人為的に3種類のボルバキア株を感染(三重感染)させた大量飼育の成体雄を数百万匹放飼したが、これらの蚊には、同じく三重感染した雌が意図せず放飼されて野外で繁殖を成功させないように、事前に蛹の段階で放射線照射を行った。今回の野外試験の成功は、媒介蚊の制御を目的とした、複合的IIT–SITの地域規模での適用の実現可能性を実証するものである。

