Letter

光物理学:分数量子ホール領域の非線形光学

Nature 572, 7767 doi: 10.1038/s41586-019-1356-3

光学光子間の強い相互作用のエンジニアリングは、量子科学における難題である。光共振器における光子と原子励起や電子励起の強い結合に基づくポラリトニクスは、この難題に取り組む有望な方法になってきており、量子情報処理向けの光子ゲートや、強く相関した駆動散逸系を研究するためのフォトニック量子物質などの応用への道が開かれている。最近の実験によって、励起子-ポラリトン系に量子相関が生じることが実証されており、相互作用が1桁強ければ、強いポラリトン閉塞(単一ポラリトンの存在によって、明確に区切られた領域へのさらなるポラリトンの共鳴注入が抑制されること)を実現できる可能性が示されている。今回我々は、光共振器に埋め込んだ二次元電子系上での時間分解四波混合実験について報告し、最初に電子が分数量子ホール領域にあると、ポラリトン–ポラリトン相互作用が強く増強されることを実証する。今回の実験から、電子基底状態の強い相関に加えて、ポーラロン-ポラリトンの形成につながる励起子–電子相互作用が、この系の非線形光学応答の増強に重要な役割を果たしていることが示唆された。今回の知見によって、強く相互作用するフォトニック系の実現が容易になる可能性があり、線形光学応答を通しては得られない分数量子ホール状態に関する情報が、非線形光学測定によって得られる可能性があることが示唆される。

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