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生化学:脂質フリッパーゼであるP4-ATPアーゼの構造と自己調節

Nature 571, 7765 doi: 10.1038/s41586-019-1344-7

タイプ4のP型ATPアーゼ(P4-ATPアーゼ)は脂質フリッパーゼで、真核生物の膜の反細胞質側の単層(内腔側単層)から細胞質側の単層へのリン脂質の能動輸送を行う。P4-ATPアーゼの分子構造やP4-ATPアーゼが脂質を認識して輸送する仕組みは、まだ解明されていない。本論文では、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の脂質フリッパーゼで、ホスファチジルセリンとホスファチジルエタノールアミンに特異的に働くP4-ATPアーゼのDrs2p–Cdc50pのクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告する。Drs2p–Cdc50pは、Drs2pのC末端尾部によって自己阻害されていて、脂質のホスファチジルイノシトール 4-リン酸(PtdIns4P、別名PI4P)によって活性化される。我々は、この複合体の自己阻害された状態、中間状態、完全に活性化された状態に当たる3種類の構造を示す。構造解析により、P4-ATPアーゼに固有の性質が明確になり、自己阻害部位や、PI4Pに依存する活性化に関わる部位が明らかになった。また、このフリッパーゼの脂質移行経路と推定されるものが観察され、この経路には膜貫通セグメント4にある保存されたPISLモチーフと膜貫通セグメント2および5にある極性残基が関わっており、とりわけ重要なのは脂質二重層の中央部にあるLys1018であることが分かった。

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