Letter

量子物理学:弱測定による単一核スピンの歳差運動の追跡

Nature 571, 7764 doi: 10.1038/s41586-019-1334-9

核磁気共鳴(NMR)分光法は、分子の構造と機能を分析し、分子のスピン密度の三次元撮像を行う強力な技術である。NMR分光計の中心にあるのは、印加磁場の周りを歳差運動する原子核によって生じる、自由誘導減衰信号の形での電磁放射の検出である。従来型のNMRでは1012個以上の原子核からの信号が必要であるが、最近の高感度磁気測定の進歩によって、必要な原子核の数が数個あるいは個々の核スピンでさえ検出できるレベルにまで劇的に減っている。自由誘導減衰の連続的な検出が単一スピンレベルでもまだ適用できるのか、また、量子反作用(検出器が測定自体に及ぼす影響)によってNMR応答が変化したり、抑制されたりするのかについてはよく分かっていない。本論文では、周期的な弱測定を使って、単一核スピンの歳差運動を追跡した結果を報告する。今回の実験系は、近傍の窒素空孔中心の電子スピンと弱く相互作用するダイヤモンド中の核スピンからなり、これが光学的に読み出せる計器の量子ビット(キュービット)として働く。我々は、測定によって生じるデコヒーレンス、サンプリングクロックとの周波数同期、という量子反作用の重要な2つの効果を観測し最小化した。我々はまた、周期的な弱測定の結果を使って、周波数がa prioriに未知の多数の核スピンの高感度かつ高分解能のNMR分光法を実証する。今回の方法から、原子分解能での単一分子NMRへの有用な手段が得られる可能性がある。

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