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免疫学:TOXは腫瘍特異的T細胞の分化の重要な調節因子である
Nature 571, 7764 doi: 10.1038/s41586-019-1324-y
腫瘍特異的CD8 T細胞の機能不全は、機能的なエフェクターT細胞や記憶T細胞の状態とは異なる分化状態である。今回我々は、核因子TOXが腫瘍特異的T(TST)細胞の分化の重要な調節因子であることを明らかにする。TOXは、腫瘍に由来する機能不全TST細胞や慢性ウイルス感染期間の疲弊したT細胞において発現が高いことが分かった。TOXの発現は、慢性的なT細胞受容体刺激やNFAT活性化によって引き起こされる。in vitroにおいてエフェクターT細胞にTOXを異所性発現させると、T細胞の疲弊に関連する転写プログラムが誘導された。逆に、腫瘍のTST細胞においてToxを欠失させると、疲弊プログラムが消失した。つまりToxを欠失させたTST細胞では、抑制性受容体(Pdcd1、Entpd1、Havcr2、Cd244、Tigitなど)の遺伝子の発現が上昇せず、それらの遺伝子のクロマチンは大部分が接近できない状態を維持していて、TCF-1などの転写因子の発現は高く保持されていた。Toxを欠失させたTST細胞は、「疲弊していない」正常な免疫表現型にもかかわらず、機能不全のままであり、このことから、抑制性受容体の発現調節はエフェクター機能の喪失とは切り離されていると考えられる。Toxを欠失させたCD8 T細胞は、急性感染に応答して、エフェクター状態や記憶状態に正常に分化したが、Toxを欠失させたTST細胞は腫瘍内に存続できなかった。我々は、TOX誘導性の疲弊プログラムが、がんなどの慢性抗原刺激の状況で、T細胞の過剰刺激や活性化誘導性細胞死を防ぐのに役立つという仮説を提唱する。

