Letter

生態学:作物の多様性が国の食料生産を安定化させる

Nature 571, 7764 doi: 10.1038/s41586-019-1316-y

増加の一途をたどる世界の食料需要、穀物備蓄の不足、気候変動によって、フードシステムの安定性が国家規模から世界規模で脅かされている。安定性を向上させる解決策として、これまでに収量の増加、灌漑の拡大、作物の乾燥耐性向上を図る政策が提案されてきた。本論文では、国レベルでの作物の多様性の向上が全ての作物を合わせた国の総収穫量の年々の安定性を向上させ得る、という補完的な可能性を評価する。我々は、91か国における176の作物種の年間収量についての50年分のデータを用いて、この作物の多様性–安定性仮説を検証した。その結果、国レベルでの作物の有効多様性の向上が、国の総収穫量の一時的な安定性の向上と関連することが明らかになった。作物の多様性には安定化効果があり、その規模は、降水量の変動に認められる不安定化効果と同程度であった。こうした安定性の向上は、収穫量が急減する年の頻度の著しい低下を反映している。多様性の効果は、灌漑、施肥、降水量、温度などの変化量に対して統計的に制御した後もロバストなままであり、多様性が安定性をもたらすのに理論的に求められる個々の作物の分散スケーリングの特徴と一致する。安定した食料供給の確保は、おそらく複数の解決策が必要となる課題である。今回の結果は、国の有効作物多様性の向上が、この課題に取り組むための新たな方策となる可能性を示唆している。

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