Letter

遺伝子工学:DNA塩基編集により誘導されるオフターゲットRNA変異と、変異誘発によるその除去

Nature 571, 7764 doi: 10.1038/s41586-019-1314-0

近年開発されたDNA塩基編集法により、二本鎖切断を一切生じさせずに、望んだ点変異をゲノムDNAに直接作製できるようになったが、オフターゲット編集の問題がこのような手法の適用を制限している。これまでに複数の研究で、ゲノムDNA中のオフターゲット変異については評価が行われているものの、一般的に用いられるDNA塩基エディターに不可欠な脱アミノ酵素は、RNAにも結合することが現在明らかになっている。例えば、シトシン塩基エディター(CBE)で用いられるシトシンデアミナーゼAPOBEC1は、DNAとRNAの両方を標的とし、アデニン塩基エディター(ABE)で用いられるアデニンデアミナーゼTadAは、RNA上で部位特異的なイノシン形成を誘導する。しかし、DNA塩基エディターにより生じる可能性のあるRNA変異については、全く評価されていなかった。アデノ随伴ウイルスは、DNA編集による遺伝子治療において、最も一般的に使われる送達系である。これらのウイルスは、in vivoで遺伝子発現を長期にわたり持続させられるため、DNA塩基エディターにより起こり得るRNA変異の程度は、大きな懸念事項である。今回我々は、CBEまたはABEにより誘発されるRNAの一塩基バリアント(SNV)について定量的評価を行った。その結果、シトシン塩基エディターBE3とアデニン塩基エディターABE7.10の両方が数万か所のオフターゲットRNA SNVを生成したことが分かった。次に我々は、脱アミノ酵素の改変を行い、3つのCBEバリアントと1つのABEバリアントで、DNAに対する効率的なオンターゲット活性は維持したまま、オフターゲットRNA SNVが基準値まで低下することを見いだした。この研究は、DNA編集におけるオフターゲット作用のこれまでに見落とされていた側面を明らかにし、また、このような作用は脱アミノ酵素の改変によって取り除けることも実証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度