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神経科学:Caenorhabditis elegansの両方の性の個体全体のコネクトーム

Nature 571, 7763 doi: 10.1038/s41586-019-1352-7

神経系の接続に関する知見は、神経系の機能を理解する上で必須である。今回我々は、神経科学研究での重要なモデル生物である線虫の一種Caenorhabditis elegansの両方の性(雄と雌雄同体)の成体のコネクトームについて報告する。我々は、感覚入力から末梢器官出力まで、個体全体の全ての接続を網羅する定量的接続マトリックスを示す。この情報は行動のモデル化に必須である。新規と以前に報告された電子顕微鏡像の両方の解析に基づいた電子顕微鏡連続切片再構築結果は、これまでの結果を更新するもので、雄の頭部のデータを含む。雄と雌雄同体とでは、神経系にさまざまなレベルで差異が見られた。性行動の神経回路で機能する両方の性に共通するいくつかのニューロンは構造と接続において性的二型が認められた。性特異的な回路から中枢回路への入力からは、性的経路と非性的経路が収斂する点が明らかになった。両方の性に共通する中枢経路では、多数の接続に雄と雌雄同体の間で強度の違いが見られた。全ての接続を含む定量的コネクトームは、複雑な適応行動が生み出される仕組みを理解するための基盤となる。

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