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量子物理学:回路量子電気力学における双曲格子
Nature 571, 7763 doi: 10.1038/s41586-019-1348-3
超伝導回路による共振器量子電気力学は、20年間にわたる開発の末、量子計算と量子シミュレーションを行う豊かなプラットフォームとして出現した。コプレーナ導波路共振器の格子は、マイクロ波光子用の人工材料の構成要素となり、非線形共振器材料の使用か、量子ビット(キュービット)と共振器の結合のいずれかを通して、光子間相互作用を組み込むことができる。今回我々は、これらの格子部位は変形でき、固体系でも実現できない強束縛格子を可能にするという、これまで見落とされていた特性を用いた。我々は、コプレーナ導波路共振器のネットワークが、負の一定な曲率を持つ有効双曲空間において格子を構成する物質群を形成できることを示す。我々は、巨視的な数の縮退固有状態にスペクトル的に孤立したフラットバンドが含まれる異常な状態密度を示す、カゴメ格子の双曲版の数値シミュレーションを提示し、さらに、そうした格子の1つを原理証明実験的に実現したことを示す。本論文は、材料科学や湾曲した空間における相互作用粒子のオンチップ量子シミュレーションへの一歩になる。

