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エネルギー貯蔵:エネルギー密度の高いロボット向けの電解液血管システム
Nature 571, 7763 doi: 10.1038/s41586-019-1313-1
現代のロボットには、生体に見られる相互接続された多機能システムがないため、生体の効率と自律性を再現できない。エネルギー貯蔵システムはロボットの自律性を制限する最も重要な要素の1つであるが、そうしたシステムのサイズ、重さ、材料、設計の制約を、生物に着想を得た多機能性適用の観点から再検討できる。今回我々は、テザーなしの水中ソフトロボットに組み込まれたエネルギー密度の高い人工循環システムを提示する。この人工血管システムは、レドックスフロー電池を手本にしており、液体の圧力伝達機能、アクチュエーション機能、エネルギー貯蔵機能を組み合わせて単一の一体型設計とすることで、ロボットのエネルギー密度を幾何学的に高めて、長時間(最長で36時間)の動作が可能になった。この構造に用いた作製技術と柔軟材料によって、ロボットの動きとともに連続的に変形する複雑な形態因子を備えた血管システムの形成が可能になった。作動液に電気化学的エネルギー貯蔵を用いた今回の手法は、将来のロボット設計におけるエネルギー密度、自律性、効率、多機能性の向上を促進する可能性がある。

