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進化発生生物学:昆虫の卵のサイズと形状は発生速度ではなく生態によって進化する

Nature 571, 7763 doi: 10.1038/s41586-019-1302-4

生物のサイズは、進化の過程で著しく多様化した。サイズの変化は、発生、形態、生態による進化圧に起因して生じたと考えられている。今回我々は、これらの進化圧の潜在的な効果を系統発生学的に検証する目的で、昆虫の卵に関する1万件を超す描写からなるデータセットを作成し、それを遺伝的形質および生活史形質のデータセットと組み合わせた。その結果、体積に最大で8桁に及ぶ差異が見られる多様な卵において、それらのサイズと形状の間の関係そのものが進化しており、そうした進化においては、卵の形状の多様性を以前予測されたような全体的なスケーリングパターンでは適切に説明できないことが明らかになった。卵のサイズは発生速度とは相関せず、多くの昆虫では成虫の体サイズとも相関しないことが示された。そうではなく、昆虫の卵のサイズと形状の多様化の説明には、捕食寄生および水中産卵の進化が役立つことが分かった。我々の研究結果は、昆虫の卵のサイズと形状の進化の根底にあるのは、普遍的なアロメトリー(相対成長)の定数ではなく、卵が産み付けられる場所であることを示唆している。

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