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生態学:場所レベルの過程が全球において外来鳥類個体群の確立を促進する

Nature 571, 7763 doi: 10.1038/s41586-019-1292-2

生物種が人間活動を介して本来の分布域の外へ移動すること(これによって「外来」個体群が生じる)は人新世の重要な特徴であり、生物多様性の喪失および環境変化の主要な全球的駆動要因である。生物の侵入を食い止めるには、外来種の中に個体群の確立に失敗する種と成功する種とが存在する理由を理解することが必要である。こうした理解を得るためには、導入地、導入種、特定の導入事象の特徴による影響を統合する必要がある。個体群の確立の成功に影響を及ぼす場所レベルの要因があるとすれば、それがどのような要因なのかを決定することは、環境の変動が個体群の生存に影響を与える可能性のある空間的、時間的、系統発生学的な軸が複数存在するため、困難なことが示されている。今回我々は、外来鳥類の導入事象に関する全球の空間的および時間的に明確なデータベースに対して階層ベイズ回帰分析を適用し、導入場所の環境条件、中でも特に気候の好適性および他の外来種集団の存在が、外来個体群の確立の成功における主要な決定要因であることを明らかにする。種レベルの形質や創始者個体群のサイズ(繁殖体圧)は、外来個体群確立の成功に対して、二次的ながら重要な影響を与える。このように、現在の人為的な環境変化の軌跡はおそらく将来の外来種の侵入を促進すると考えられるが、そうした将来の侵入を予測するには、場所レベル、種レベル、事象レベルの複数の特徴を統合することが必要となる。

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