Letter
材料科学:ガラス状ポリマー簿膜における組織化されたマイクロフィブリル化を用いた構造色
Nature 570, 7761 doi: 10.1038/s41586-019-1299-8
ポリマーの応力ホットスポットにおける微小細孔やマイクロフィブリルの形成は、通常は好ましくない現象であり、材料破壊の一因となる。このタイプの応力クレージング(微細ひび割れ)は、概してポリマーを実質的に溶解しない程度の、弱い溶媒によって加速される。こうした弱溶媒は、浸透してポリマーを可塑化し、細孔やマイクロフィブリルの形成過程を促進する。今回我々は、定在波光学系を用いて膜内の周期的応力場を設計することによって、ポリマー簿膜におけるマイクロフィブリルや細孔の形成を制御・利用できることを示す。すなわち、我々が「組織化された応力マイクロフィブリル化(organized stress microfibrillation)」と呼ぶ過程において、弱溶媒を用いてその周期的応力場を発達させて細孔・マイクロフィブリル層と高密度ポリマー層の交互層を形成できた。この多孔性多層構造は可視スペクトル全域にわたって構造色を示し、簿膜の現像の温度条件と溶媒条件を変えることによって構造色を調節できる。さらに標準的なリソグラフィーやマスキングの手法を用いることによって、組織化された応力マイクロフィブリル化過程はインク不要の大規模カラー印刷工程となり、複数のフレキシブル透明フォーマット上に1インチ当たり最高1万4000ドットの解像度で画像を作成できた。

