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免疫学:NEK7によってライセンスされたNLRP3インフラマソーム活性化の構造的機構

Nature 570, 7761 doi: 10.1038/s41586-019-1295-z

NLRP3インフラマソームは、ナイジェリシンや尿酸結晶、アミロイドβ原繊維、細胞外ATPなどの刺激によって活性化される。分裂期キナーゼであるNEK7は、間期にNLRP3インフラマソームの組み立てと活性化をライセンスする。本論文では、NEK7と複合体を形成した不活性なヒトNLRP3の分解能3.8 Åでのクライオ(極低温)電子顕微鏡構造を報告する。イヤリングに似た形のNLRP3は、湾曲したロイシンリッチリピートと球状のNACHTドメインからなり、NEK7のC末端の丸い突起部分はNLRP3の2つのドメインの両方に包まれたような形になっている。NLRP3とNEK7との間の構造認識は、in vitroと細胞の両方での変異誘発実験によって確認された。活性化状態のNLRP3–NEK7のコンホメーションを、NLRC4インフラマソームの構造に基づいてモデル化したところ、NLRP3が結合しているNEK7とその近傍にあるNLRP3との間にもう1つ別の接触があることが予測された。この境界面で変異を誘発すると、NEK7ノックアウト細胞ではNEK7が、またNLRP3ノックアウト細胞ではNLRP3が、NLRP3の活性化を回復できなくなる。これらの結果は、NEK7が2か所の結合により近接したNLRP3サブユニット間を橋渡しして、NLRP3インフラマソームの活性化を仲介していることを示唆している。

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