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がんゲノミクス:がん患者に見られるゲノム規模での無細胞DNAの断片化

Nature 570, 7761 doi: 10.1038/s41586-019-1272-6

血液中の無細胞DNAは、がん患者の非侵襲的診断に利用できる。しかし、無細胞DNAの起源や分子的特徴については、ほとんど分かっていない。今回我々は、ゲノム全域で無細胞DNAの断片化パターンを評価する方法を開発し、健常者では白血球のヌクレオソームパターンが断片化パターンを反映しているのに対し、がん患者では断片化のパターンが変化していることを見いだした。我々はこの方法を使って、乳がん、大腸がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、胃がん、胆管がんの患者236人と健常者245人の断片化プロファイルを解析した。ゲノム規模の断片化の特徴を組み込んだ機械学習モデルは、この7タイプのがんに対して98%の特異度で57~99%以上の検出感度を示した[全体的な曲線下面積(AUC)値は0.94]。断片化プロファイルを用いると、75%の症例で、がんの起源となった組織を数か所に絞り込むことができた。今回の方法を変異に基づく無細胞DNA解析と組み合わせることにより、がん患者の91%が検出された。これらの解析結果は、無細胞DNAの重要な性質を示しており、ヒトのがんのスクリーニング、早期発見、モニタリングを行うための原理証明手段を提供する。

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