微生物学:Cas13により誘導される細胞休眠はCRISPR抵抗性バクテリオファージの増加を防ぐ
Nature 570, 7760 doi: 10.1038/s41586-019-1257-5
原核生物におけるCRISPR(clustered, regularly interspaced, short palindromic repeat)座位は、30~40塩基対の複数のリピート配列が、プラスミドやバクテリオファージに由来する同程度の短い塩基配列(スペーサーとして知られる)によって区切られた構成となっている。これらの座位は転写されて、短いCRISPR RNA(crRNA)にプロセシングされる。Cas(CRISPR-associated)ヌクレアーゼはcrRNAをガイドとして用い、外来核酸中の相補的配列(プロトスペーサーとして知られる)を認識して破壊する。ほとんどのCasヌクレアーゼが侵入DNAを破壊するのとは対照的に、VI型エフェクターのヌクレアーゼCas13は、RNAガイドを用いて、相補的転写産物の位置を突き止め、塩基配列特異的なシスのRNA切断と塩基配列非特異的なトランスのRNA切断の両方を触媒する。Cas13は生来的にRNAファージへの防御を行うと考えられてきたが、VI型のスペーサー配列はもっぱら二本鎖DNAファージのゲノムと一致することが見いだされており、Cas13がこれらの侵入二本鎖DNAファージに対する免疫を発揮できることが示唆される。しかし、Cas13がシスおよび/あるいはトランスのRNA切断活性を用いて二本鎖DNAファージを防御するのかどうか、防御するのであればそれがどのように行われるかは解明されていない。今回我々は、転写産物のトランス切断が、宿主細胞の増殖を停止させ、感染サイクルを中断させるのに十分であることを示す。この作用はファージ集団を枯渇させ、非感染細菌に集団免疫をもたらす。Cas13が野生型ファージによって活性化されると、DNAを標的とするCRISPR系を容易に回避する標的変異を持つファージも中和される。従って、VI型CRISPR系は、ウイルスを直接標的とするのでなく宿主に作用することで、DNAファージに対するロバストな防御をもたらすとともに、CRISPR抵抗性ファージの大発生を防いでいる。

