Letter
材料科学:単層極限に至る酸化物ペロブスカイト自立結晶
Nature 570, 7759 doi: 10.1038/s41586-019-1255-7
グラフェンや遷移金属ジカルコゲニドなどの二次元(2D)材料から、バルク結晶を単層まで薄くすると出現する電子相が明らかになっている。遷移金属酸化物ペロブスカイトはさまざまな相関電子相を有するため、遷移金属酸化物ペロブスカイト系単層材料における同様の挙動からは、まだ調べられていない多種多様なエキゾチック2D相関相が見つかると思われる。今回我々は、ほぼ単位胞1個分の薄さに至る高品質結晶ペロブスカイト自立膜を作製したことを報告する。我々は、犠牲緩衝層として水溶性のSr3Al2O6を使う最近開発された方法を用いて、SrTiO3とBiFeO3の極薄自立膜を反応性分子線エピタキシー法で合成し、さまざまな基板(特に結晶シリコンウエハーや穴開きカーボン膜)上に転写した。その結果、BiFeO3自立膜が2D極限に近づくと意外な巨大正方性と巨大分極を示すことが見いだされた。今回の結果は、極薄酸化物自立膜には結晶秩序を安定化させる臨界厚さが存在しないことを実証している。厚さの制限なく結晶ペロブスカイト自立膜を合成して望みの基板に転写できるようになったことで、これまで技術的に不可能であった2D相関相や界面現象を調べる機会が得られる。

