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固体地球科学:マントル遷移層の深さにおける冷たい沈み込みスラブの磁性

Nature 570, 7759 doi: 10.1038/s41586-019-1254-8

地球の地殻とマントルの境界であるモホロビチッチ不連続面は従来、磁性体である地殻と非磁性体であるマントルの間の境界であると考えられてきた。しかし、地球物理学的観測の結果や、マントル捕獲岩にマントルの磁気源を示唆する残留磁気が見つかったことから、この仮説に疑問が投げ掛けられている。鉄酸化物は臨界温度が高いため、マントルの深さでは磁気異常の源である可能性がある唯一の物質である。赤鉄鉱(ヘマタイト;α-Fe2O3)は、深さ300〜600 kmにおける沈み込んだ岩質の主要な鉄酸化物であり、磁鉄鉱の熱分解と約600 km以深での高圧磁鉄鉱相の結晶化によって説明される。しかし、対応する温度圧力条件におけるヘマタイトの磁気的性質に関するデータがないため、マントル内部の磁気境界と観測される磁気異常へのその寄与の特定が妨げられている。今回我々は、シンクロトロン・メスバウアー線源分光法をレーザー加熱ダイヤモンドアンビルセルに適用し、Fe2O3多形体の磁気転移と臨界温度を、最大で90 GPaの圧力と1300 Kの温度で調べた。その結果、沈み込み帯の地熱が低いか極端に低い地球マントルでは、遷移層の深さでヘマタイトが磁性を維持していて、西太平洋領域における深部の磁性岩体の構造を形成していることが示された。深部の磁気源は、地磁気逆転の際の仮想地磁気極の想定される経路と空間的に相関しており、過渡的な磁場の形状を反映していない可能性がある。むしろ、これらの経路は、遷移層中部の深さの冷たい沈み込みスラブ内の磁化したヘマタイトを含む岩石に起因するアーティファクトである可能性がある。こうした深部の磁気源は、地球の地磁気データの逆解析を行う際や、火星などのもはやダイナモが存在しない惑星の研究においては特に、考慮されるべきである。

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