Letter
天文学:銀河系中心のブラックホール周辺の低温の降着円盤
Nature 570, 7759 doi: 10.1038/s41586-019-1242-z
銀河系中心には太陽質量の4 × 106倍の超大質量ブラックホールが存在し、高温(107 K)のガスとそれより低温(102〜104 K)のガスの大規模なリザーバーが、数パーセクの範囲内でそれを取り囲んでいる。ブラックホールの降着領域、つまりシュワルツシルト半径の105倍(0.04パーセク)の範囲内における高温ガスの量はX線観測で絞り込まれているものの、より低温のガスの質量は絞り込まれていない。この低温ガスを検出できる可能性がある方法の1つは、水素再結合スペクトル線によるものである。本論文では、1.3 mmのH30α再結合線を用いて、シュワルツシルト半径の2 × 104倍の範囲内で104 Kの電離したガス円盤を撮像した結果について報告する。この輝線はダブルピークを示し、その全速度線幅は約2200 km s−1であった。この放射は、電波源のいて座A*を中心としているが、赤方偏移側は北東方向に0.11秒角ずれており(8キロパーセクの距離に対して0.004パーセク)、青方偏移側は南西方向に同程度の距離ずれていた。我々はこうした観測結果を、質量が太陽の10−5〜10−4倍で、平均水素密度が1 cm3当たり約105〜106の回転円盤という観点から解釈するが、これらの値は仮定される形状に影響されやすい。水素のBrγスペクトル線の強度の上限値を考えると、放射は予測よりも強い。我々は、H30αの遷移がメーザー放射によって増強されていると考える。

