エレクトロニクス材料:溶液プロセスで作製した半導体の格子アンカリングによる安定化
Nature 570, 7759 doi: 10.1038/s41586-019-1239-7
溶液プロセスで作製した半導体の安定性は、より広い展開に向けて改善すべき重要な領域である。無機ハロゲン化セシウム鉛ペロブスカイトのバンドギャップは、タンデム太陽電池に非常に適しているが、室温付近で望ましくない相転移が起こるという問題がある。コロイド量子ドット(CQD)は、サイズによってバンドギャップを調節できることから高く評価されている構造の頑丈な材料である。しかし、CQDも表面パッシベーションが不完全なため高温で凝集や表面酸化が起こりやすく、さらなる安定性の向上が必要である。今回我々は、ハロゲン化セシウム鉛ペロブスカイトと鉛カルコゲニドCQDを組み合わせて「格子をアンカリング」したハイブリッド材料について報告する。このハイブリッド材料では、2つの材料の格子整合によって、それぞれの材料を超える安定性がもたらされる。我々は、CQDがペロブスカイトを望ましい立方晶相に維持しながら、望ましくない格子不整合相への転移を抑制することを見いだした。CQDによってアンカリングされたペロブスカイトの空気中での安定性は、元のペロブスカイトと比べて1桁向上し、周囲条件(温度25°C、湿度約30%)で6か月以上、200°Cの高温で5時間以上安定であった。ペロブスカイトは、CQDの表面酸化を防ぎ、100°CにおけるCQDナノ粒子の凝集を対照CQDの5分の1に低減させた。このペロブスカイトマトリックスに保護されたCQDは、赤外波長のCQD固体発光について30%の発光量子効率を示した。格子アンカリングしたCQD・ペロブスカイト固体は、純粋なCQD固体と比較してキャリアホッピングのエネルギー障壁が低下した結果、電荷キャリア移動度が2倍になった。こうした利点は、溶液プロセスで作製されるオプトエレクトロニクスデバイスに利用できる可能性がある。

