腫瘍免疫学:CBM複合体の標的化によって、Treg細胞は腫瘍を免疫チェックポイント療法に適するようプライミングする
Nature 570, 7759 doi: 10.1038/s41586-019-1215-2
固形腫瘍には、腫瘍の制御や拒絶を行う能力を持つエフェクターT細胞に加え、エフェクターT細胞の機能を制限して腫瘍増殖を促す制御性T(Treg)細胞も浸潤する。エフェクターT細胞の抗腫瘍効果は治療によって引き出すことができ、現在ではいくつかのヒトがん治療に利用されている。しかし、弱い腫瘍関連炎症応答やTreg細胞の免疫抑制機能は、腫瘍免疫療法の効果を拡大する上で大きな課題として残っている。今回我々は、CARMA1–BCL10–MALT1(CBM)シグナロソーム複合体を破壊すると、大部分の腫瘍浸潤Treg細胞がIFNγを産生するようになり、結果として腫瘍増殖が抑えられることを示す。一部のTreg細胞のみで遺伝学的にCARMA1(別名Card11)の対立遺伝子を両方欠失させる、あるいは片方のみ欠失させるだけでも(これによって全身性自己免疫が回避された)、抗腫瘍効果を生み出すのに十分だった。この結果は、Treg細胞の免疫抑制機能が失われただけでなく、Treg細胞が腫瘍制御を開始するエフェクター機能を獲得したことを示している。Treg細胞によるIFNγ産生には、マクロファージの活性化と腫瘍細胞上の主要組織適合遺伝子複合体クラスI分子の発現上昇が伴っていた。しかし、腫瘍細胞ではPD-L1の発現増加も見られ、適応免疫抵抗性が活性化されたことが分かる。従って、CARMA1欠失と共にPD-1阻害を行うことで、抗PD-1単剤療法には応答しない腫瘍の拒絶が引き起こされた。この効果は、CBMタンパク質MALT1の薬理学的阻害によって再現された。我々の結果は、自己反応性が優勢なTreg細胞プールにおけるCBM複合体の部分的な破壊とIFNγ分泌の誘導が、全身性の自己免疫を引き起こさずに、免疫チェックポイント療法が成功するよう腫瘍環境をプライミングするのに十分であることを証明している。

