分子生物学:転写コファクターは異なるタイプのコアプロモーターに対して特異性を示す
Nature 570, 7759 doi: 10.1038/s41586-019-1210-7
転写コファクター(COF)はエンハンサーからプロモーターへと調節の合図を伝える、転写活性化と遺伝子発現の重要なエフェクターである。一部のCOFが特定のタイプのプロモーターを選んで作用することは知られているが、さまざまなCOFが別々のプロモーターに対して固有の特異性をどの程度示すのかは明らかになっていない。今回我々は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)のS2細胞でプロモーター活性のハイスループットアッセイを行い、23のCOFについて、候補である7万2000のコアプロモーター(CP)に対する活性化能を調べた。CPの活性化の程度には差異が見られ、COFと特定のタイプのCPの間に、調節に関する選択性の差異、すなわち「適合性」が存在することが示された。このような機能的に異なるCPタイプは、既知の配列要素、例えばTATAボックスや下流プロモーターエレメント(DPE)、TCTモチーフなどの含有量に差異があり、内在性座位でのクロマチン特性が異なっている。これらのCPタイプは、H3K4me3標識およびH3K4me1標識の相対的な存在量に違いがあり、これらのヒストン修飾がプロモーター対エンハンサー型のシス調節エレメントではなく、トランス調節因子を識別している可能性が考えられる。このような異なるCOF–CP適合性の存在は、他の2種類のショウジョウバエ細胞系列やヒト細胞でも確認され、ショウジョウバエ細胞ではTATAボックスプロモーターを、ヒト細胞ではCpGアイランドプロモーターを選択するCOFが見つかった。このようなCOFとプロモーターの適合性の違いによって、さまざまなエンハンサーが、異なる遺伝子群、同一遺伝子内の別のプロモーター、同一プロモーター内の異なる転写開始部位を特異的に活性化する仕組みを説明できる可能性がある。従って、COF–プロモーター適合性は、ショウジョウバエとヒトのように分岐した生物種で異なる転写プログラムが存在することの基盤となっているのかもしれない。

