Article

発生生物学:哺乳類胚形成の分子記録

Nature 570, 7759 doi: 10.1038/s41586-019-1184-5

個体発生とは、単一の全能性細胞から複雑な多細胞生物が出現する過程をいう。この分野の研究は哺乳類では特に困難である。これは自己複製と分化の間の関係が不明瞭であり、前駆細胞領域のサイズが多様で、哺乳類が体内妊娠であることによる。今回我々は、単一細胞レベルで読み出せる柔軟で情報量の多いマルチチャンネル分子記録法を開発し、それを進化する細胞系譜追跡標識として用いて、受精から原腸形成までのマウス細胞運命地図を組み立てた。細胞系譜情報を単一細胞RNA塩基配列解読プロファイルと組み合わせることで、異なるタイプの組織間のカノニカルな発生関係が再現され、また、胚体外起源および胚体起源の内胚葉細胞がほぼ完全な転写収斂を示すことが明らかになった。さらに我々は、この細胞運命地図を用いて、胚の前駆細胞の数とそれらの細胞が運命指定される際の非対称分配の程度を推定した。我々の手法は、哺乳類の系における細胞系譜や他の情報の大規模並行高分解能記録を可能にし、これにより発生過程を理解するための定量的枠組みの構築が促進されると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度