天文学:最終崩壊前の大質量白色矮星合体天体
Nature 569, 7758 doi: 10.1038/s41586-019-1216-1
重力波放射は、互いの周りを回っている近接したコンパクトな天体の合体をもたらすことがある。中性子星の場合、このような合体によって、トルマン・オッペンハイマー・ヴォルコフ限界を超える質量(太陽質量の2〜2.7倍)の星が生み出される可能性があり、ブラックホールの形成につながる。白色矮星では、合体で生じる天体の質量がチャンドラセカール限界を超える可能性があり、Ia型超新星としての熱核爆発か、中性子星の形成につながる崩壊のいずれかが起こる。後者の場合、水素とヘリウムを含まない星周星雲と、寿命1万年程度の、高温で明るく高速で回転する強く磁化した中心星が生じると予想されている。本論文では、円形の中赤外星雲の中心に位置する、輝線が支配的なスペクトルを示す高温の星の観測結果について報告する。こうした輝線の幅は、恒星風物質が1万6000 km s−1のアウトフロー速度で星から飛び去っており、星の高速自転と強い磁場がこうした恒星風の加速を助けていることを示唆している。星と星雲にはおそらく水素とヘリウムが存在しないと考えられることから、我々は、星と星雲は共に2つの大質量白色矮星の合体から最近形成されたと結論付ける。我々の恒星大気モデルと恒星風モデルは、星の表面温度が約20万Kで、光度が太陽の約104.6倍であることを示している。星と星雲の特徴は、超チャンドラセカール質量の白色矮星の合体後の進化モデルと一致し、このことから、今後数千年以内の星の崩壊時に可視光で明るく高エネルギーのトランジェント天体が生じると予想される。今回の観測からは、超チャンドラセカール質量の白色矮星合体天体がIa型超新星としての熱核爆発を回避し得ることが示され、星の合体中に磁場が生成されることを示す証拠が得られた。

