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惑星科学:フォボスの軌道進化によって明らかにされた火星のレオロジーと熱史

Nature 569, 7757 doi: 10.1038/s41586-019-1202-7

火星の進化と内部構造は、その現在の地表と比べてあまりよく分かっていない。しかし、火山活動が最近あったことを示す証拠は、火星内部の深部がまだ熱く、対流で冷却されていることを示唆している。火星の冷却速度は、初期の熱状態と、変形のしやすさや力学的進化の度合いを決めるレオロジーと関連している。火星の熱進化研究と地表観測を組み合わせることで、火星の力学的な歴史を再構築して現在の構造を明らかにしようとする取り組みは、温度、組成、レオロジーといった主要ないくつかの量が相互に作用しているため限界がある。本論文では、潮汐相互作用を介して軌道進化が火星の熱化学史の影響を受けている、火星に最も近い衛星フォボスを調べることによって、火星の熱史とレオロジーについての手掛かりが得られることを示す。我々は、液体金属の核、核を覆って対流運動をしている均一なケイ酸塩マントル、さらにそれを覆う放射性崩壊で生じる元素に富む地殻などの、進化している不均一なリソスフェアから構成される、火星の主なエンベロープの長期進化を調べた。その結果、火星の衛星の初期の起源に関する確立されたin situシナリオの範囲内で火星とフォボスとの間の関係を利用することによって、初期の火星は今よりもやや熱く(100〜200 K)、マントルは転位クリープ領域内でゆっくりと変形していたことが見いだされた。これは、1022.2 ± 0.5パスカル秒という参照粘度に対応し、温度と圧力に対する粘度の中程度から比較的弱い固有感度に相当する。今回の方法からは、現在の地殻の平均厚さは40 ± 25 kmで、表面熱流量は20 ± 1 mW m−2であると予測された。我々は、こうした予測と「インサイト」などの現在進行中および将来の探査ミッションから得られるデータを組み合わせることで、火星の熱史とレオロジーの歴史における不確かさが減り、フォボスの起源の解明に役立つ可能性があることを示す。

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