エピジェネティクス:藻類のTETホモログが触媒しビタミンCが使われるDNA修飾
Nature 569, 7757 doi: 10.1038/s41586-019-1160-0
シトシンをメチル化して5-メチルシトシン(5mC)とする反応は、多くの生物で広く見られるDNA修飾である。5mCは続いてTET(ten-eleven translocation)ジオキシゲナーゼによって酸化され、その結果、哺乳類ではエピジェネティック標識をさらに付加するカスケード反応が起こって、DNAの脱メチル化が促進される。しかし、他の真核生物でのTETホモログの酵素活性と機能については、ほとんど調べられていない。今回我々は、緑藻類のコナミドリムシ(Chlamydomonas reinhardtii)が5mC修飾酵素(CMD1)を含んでいて、これはTETホモログであり、5mCのメチル基にグリセリル基を炭素–炭素結合で結合させる反応を触媒することを示す。この反応の結果、核酸塩基の2種類の立体異性体が生じる。CMD1の触媒活性には、Fe(II)に加えて、Fe依存性ジオキシゲナーゼで保存されている結合モチーフHis-X-Aspが完全な形で存在することが必要である。しかし、これまでに報告されているTET酵素が2-オキソグルタル酸を補助基質にするのとは異なり、CMD1はL-アスコルビン酸(ビタミンC)を不可欠な補助基質として使用する。ビタミンCは5mCにグリセリル基を供与し、同時にグリオキシル酸とCO2が生成する。ビタミンCが使われるDNA修飾は野生型コナミドリムシのゲノムには存在するが、CMD1変異株ではかなり少ない。CMD1変異細胞の適応度は、強い光に曝露されていると低下する。強光条件下での光酸化による損傷からコナミドリムシを守るのに不可欠な遺伝子であるLHCSR3は、CMD1変異細胞では野生型細胞に比べ高度にメチル化されて発現が抑制されていて、光防御作用を持つ非光化学的クエンチングの能力が低下する。この研究によって、多様なTETホモログが触媒し、ビタミンCという意外な補助基質を用いるDNA塩基修飾が真核生物で見つかった。この修飾はエピジェネティック標識として働いて、光合成の調節でDNAメチル化に対抗しているのかもしれない。

