地球化学:バミューダ諸島下の揮発性物質に富む遷移層の起源
Nature 569, 7756 doi: 10.1038/s41586-019-1183-6
プレート境界から離れた所に見られるプレート内火成岩区から、地球マントルの組成と不均一性に関する試料が直接得られる。マントルに見られる化学的不均一性は、通常沈み込みに伴う再循環によって揮発性物質と液相濃集(不適合)元素がマントルに付加されることが原因であるとされる。プレート内火山の多くの起源は、マントル深部(おそらくは核マントル境界)の貯蔵庫であるが、全てのプレート内火山の起源が深部にあるわけではなく、より浅部にある他の境界層がマグマ生成に関与している可能性がある。本論文では、バミューダ諸島の起源が、液相濃集元素と揮発性物質がかなり豊富でシリカに不飽和なメルトを特徴とし、独特で極端な同位体特性を有する、これまで知られていないマントル領域であることを示唆する証拠を提示する。我々の知る限り、バミューダ諸島の206Pb/204Pb同位体比は、これまで高精度の手法を用いて報告された海洋底の206Pb/204Pb同位体比の中で放射性崩壊起源の鉛が最も多く、その値は19.9~21.7である。207Pb/204Pb同位体比は15.5~15.6と低く、ストロンチウム(Sr)、ネオジム(Nd)、ハフニウム(Hf)の同位体が比較的不変であることを合わせると、このデータはバミューダ諸島の供給源の年代が6億5000万年前より新しいことを示唆している。従って我々は、バミューダ諸島の供給源が、これまで知られていない一時的なマントル貯蔵庫であり、この貯蔵庫は、遷移層(上部マントルと下部マントルの間)内での液相濃集元素と揮発性物質の再循環と貯蔵に由来し、K-ホランダイトなどのこの境界層内でのみ安定な鉱物における鉛の分別によって促進されたと解釈した。我々は、パンゲア大陸の形成時の沈み込みに関連して遷移層内への再循環が最近起きたことが、この貯蔵庫が大西洋でのみ見られる理由であると提案する。今回の地球ダイナミクスモデルは、この境界層の起源がマントル流に関連した擾乱であることを示唆している。地震学的研究とダイヤモンド包有物からは、再循環した物質が遷移層内に貯蔵され得ることが示されている。これらの知見は、これまで深部の再循環にのみ関連すると考えられてきた極端な同位体区域の生成にこの貯蔵が重要であることを示す、我々の知る限りでは初めての地球化学的証拠である。

