Letter
ナノスケール材料:金ナノ接合の原子レオロジー
Nature 569, 7756 doi: 10.1038/s41586-019-1178-3
マイクロサイズやナノサイズの金属試料における散逸過程や変形過程が広く研究されているにもかかわらず、極限のサイズ(分子サイズ)の系が変形する際に働く機構は、まだよく分かっていない。金属ワイヤーを原子レベルの細さになるまで引き伸ばすことによって得られる金属ナノ接合は、原子スケールの接触を調べるために用いられることが多く、原子スケールでの物質の完全平衡レオロジー流や非平衡レオロジー流の特性の決定はこれまで不可能だった。今回我々は、水晶音叉を備えた原子間力顕微鏡を用いることによって、オングストオロームサイズの金接合の電気的測定とレオロジー的測定を組み合わせ、このモデル原子系の非線形レオロジーを調べた。金接合にナノメートル以下の変形を徐々に加えていくことによって、長さスケールは数桁異なるものの降伏性軟質材料のレオロジーに類似した、純弾性領域から塑性領域、そして最終的には粘性的な流動領域への遷移が観察された。さらにこの流動状態は、液体毛管架橋において予想される通りの毛管引力を示した。このせん断流動は古典的な原子面間摩擦モデルでは捉えることができず、極限スケールでは無欠陥金属接合が予想外の散逸的振る舞いをすることが示唆される。従って、原子レオロジーは、原子間接触の構造的再組織化の精査に使用できる強力な手段になる。

