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がん:RBは細胞系譜の正確さと、腫瘍のプログレッションと転移の複数の段階を制限する

Nature 569, 7756 doi: 10.1038/s41586-019-1172-9

RB腫瘍抑制因子経路における変異は、がんの特徴の1つであり、肺腺がんに広く見られる特性である。RBは最初に見つかった腫瘍抑制因子であるが、がんで永続的なRB喪失の選択が起こる原因は、分子レベルや細胞レベルではまだ解明されていない。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)4とCDK6の阻害剤を使ってRB経路を再活性化する方法は一部のがんのタイプでは効果があり、現在、肺腺がんの治療法としての評価が行われている。肺がんにおいて、RB経路の再活性化に治療効果があるのかどうか、またRB経路を再活性化するのにCDK4とCDK6の標的化で十分かどうかは不明である。今回我々は、発がん性KRASをドライバーとして樹立したマウスの腫瘍で、肺腺がんプログレッションでのRB喪失と経路再活性化をモデル化した。その結果、RBが失われると、がん細胞は腫瘍プログレッションの際に、2つの障壁を迂回できるようになることが明らかになった。1つ目は、RBの喪失によって、悪性プログレッションの要件であるMAPKシグナルの増幅が不要になることである。我々は、CDK2依存的なRBのリン酸化がMAPKシグナル伝達のエフェクターであり、CDK4やCDK6の阻害に対する抵抗性に不可欠なメディエーターであることを見いだした。2つ目は、RBの不活性化は細胞状態の決定因子の発現を脱調節し、細胞系譜逸脱を促し、腫瘍の転移能獲得を加速することである。逆に、RBを再活性化すると、進行した腫瘍が再プログラム化されて転移能の低い細胞状態になる。ただし、それでもMAPK経路のシグナル伝達が適応的に再配線されるために、CDK依存的なRBの抑制が回復し、がん細胞の増殖と腫瘍の成長は止められない。今回の研究によって、腫瘍プログレッションの分子機構、遺伝子とそれが制御する腫瘍抑制プログラムとの因果関係、有効ながん治療の重要な決定因子を突き止めるのに、遺伝子の可逆的撹乱が強力な手法になることが実証された。

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