Article
糖尿病:in vitroでのヒトβ細胞分化過程における細胞アイデンティティーの描写
Nature 569, 7756 doi: 10.1038/s41586-019-1168-5
ヒト幹細胞をin vitroで分化させることで、膵臓のβ細胞を産生できる。このインスリン分泌細胞が失われると、1型糖尿病につながる。今回我々は、この分化過程の理解に向けた一歩として、in vitroでβ細胞へと分化中のヒト細胞10万個以上を対象に行った転写プロファイリングの結果と、その際に出現した細胞について報告する。その結果、β細胞、多ホルモン産生α様細胞、膵外分泌細胞に似た非内分泌細胞、そして腸管クロム親和性細胞に似たこれまで報告されていなかった細胞にそれぞれ相当する細胞集団が分離された。培養中に外来の増殖因子がなくても、内分泌細胞はアイデンティティーを維持し、in vivoでのβ細胞成熟に関連する遺伝子発現の変化をin vitroでも再現することが明らかになった。我々は、スケーラブルな再集合技術を利用して非内分泌細胞を激減させ、β細胞集団の表面マーカーとしてCD49a(別名ITGA1)を特定した。このマーカーを使うことで、磁気ソーティングにより純度を80%にまで高められる。さらに我々は、高分解能での塩基配列解読を経時的に行うことで、ヒト膵臓内分泌細胞誘導時の遺伝子発現動態の特徴を明らかにし、in vitroでのβ細胞分化の細胞系譜モデルを作製した。今回の研究は、ヒト幹細胞の分化の新たな洞察をもたらすとともに、膵島細胞の分化に焦点を合わせた取り組みやそれらの再生医学への応用に向けた今後の道しるべとなるだろう。

