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人類学:チベット高原で発見された中期更新世後期のデニソワ人の下顎骨
Nature 569, 7756 doi: 10.1038/s41586-019-1139-x
デニソワ人は、現在のところ断片的な化石しか直接的な証拠が存在しないヒト族集団であり、そのゲノムはシベリアのデニソワ洞窟という単一の遺跡に由来するものが調べられているだけである。デニソワ人の存在は、間接的には、低地の複数の東アジア人集団および高地の現代チベット人への遺伝子流動による遺伝的遺産からも示されている。形態学的な情報を与えるようなデニソワ人化石の欠如によって、地理的および時間的に分散したアジア由来の化石ヒト族を結び付けること、また、それらのヒト族と近代アジア人集団との関係の明確な理解が妨げられている。これには、現生人類がデニソワ人から受け継いだ、高地チベット高原への遺伝的適応に関する理解も含まれる。本論文では、中国甘粛省夏河県のチベット高原にある白石崖溶洞(Baishiya Karst Cave)で発見され、古代タンパク質の分析によって同定された、デニソワ人の下顎骨について報告する。この下顎骨は、付着した炭酸塩基質のウラン系列年代測定により、少なくとも16万年前のものであると推定された。この標本は、デニソワ人がアルタイ山脈以外の地に存在したことを示す直接的な証拠を提供し、その分析結果は、デニソワ人の下顎骨および歯の形態に関して独自の洞察を与える。今回の結果は、中期更新世には古代ヒト族がチベット高原に定着しており、現代のホモ・サピエンス(Homo sapiens)がこの地域に到達するはるか前に高地の低酸素環境への適応に成功していたことを示している。

