生態学:気候による分解の制御が、森林を構成する高木の共生の全球的な生物地理的分布を駆動する
Nature 569, 7756 doi: 10.1038/s41586-019-1128-0
森林の高木が大気や土壌のプールから制限栄養素を利用する能力、炭素を隔離する能力、そして気候変動の影響に耐える能力は、どのような根圏共生微生物が優占的かによって決まる。そのため、こうした共生の全球分布の特徴を明らかにしてその分布を制御する要因を特定することは、森林生態系における現在および将来の機能を理解する上で不可欠である。今回我々は、計2万8000種を超す高木を含む110万以上の森林調査プロットのデータベースを用いて、森林の共生状態を空間的に明確に示す全球地図を作製した。分析の結果、気候変数、特に気候に制御される分解速度の変動が、主要な共生の全球分布の主な駆動要因であることが示された。我々は、外生菌根性の高木は全植物種のわずか2%にすぎないが、地球における樹幹の約60%を占めると推定する。外生菌根共生は、季節的な寒冷乾燥気候が分解を阻害する森林で支配的であり、高緯度地域および高地での主要な共生形態となっている。対照的に、アーバスキュラー菌根性の高木は季節と無関係に温暖な熱帯林で優占的であり、季節的な温暖湿潤気候が分解を促進する温帯バイオームでは外生菌根性の高木と共存する。大陸における、外生菌根性の高木が優占的な森林とアーバスキュラー菌根性の高木が優占的な森林の間の移行は、気候に駆動される分解勾配に沿って比較的急激に生じ、こうした移行はおそらく植物と微生物との間の正のフィードバック効果に起因すると考えられる。窒素固定共生菌は、菌根菌と比べて気候による分解の制御に対して感受性が低く、土壌がアルカリ性で最高気温の高い乾燥バイオームで最も多かった。今回明らかになった気候に駆動される全球の共生勾配は、微生物共生に関して空間的に明確な全球規模での定量的理解をもたらすとともに、植物種の分布を形作る上で微生物の相利共生が極めて重要な役割を果たしていることを実証している。

