Article

神経科学:カルシンテニン3β–S100b軸を介した熱産生脂肪組織の神経支配

Nature 569, 7755 doi: 10.1038/s41586-019-1156-9

交感神経系は、局所の軸索からのノルアドレナリンの放出を介して、褐色脂肪細胞とベージュ脂肪細胞の熱産生を駆動する。しかし、熱産生脂肪組織において白色脂肪組織よりも高次の交感神経支配が行われる分子基盤については、まだ分かっていない。今回我々は、熱産生脂肪細胞が、これまで知られていなかった哺乳類特異的な小胞体タンパク質を発現していることを明らかにし、このタンパク質をカルシンテニン3βと名付けた。脂肪細胞でカルシンテニン3βの発現を遺伝的に低下または上昇させると、脂肪組織における機能的な交感神経支配がそれぞれ減少、増加した。カルシンテニン3βを除去したマウスは、高脂肪食で肥満になりやすくなった。機構的には、カルシンテニン3βはS100b(シグナルペプチドを持たないタンパク質)の小胞体局在と褐色脂肪細胞からの分泌を促進する。S100bはin vitroで、交感神経ニューロンからの神経突起の伸長を誘発した。S100bの欠失は、カルシンテニン3β欠失の表現型を模写し、また、褐色脂肪細胞でS100bを強制発現させると、カルシンテニン3βの除去によって生じた交感神経支配不全が救済された。我々のデータは、熱産生脂肪細胞と交感神経ニューロンとの間のコミュニケーションの哺乳類特異的な機構を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度