構造生物学:ヒトMT2メラトニン受容体のXFEL構造から明らかになったサブタイプ選択性の基盤
Nature 569, 7755 doi: 10.1038/s41586-019-1144-0
ヒトのメラトニン受容体であるMT1およびMT2はGタンパク質共役受容体で、概日リズムや睡眠パターンの調節を助けている。創薬研究では、不眠症、概日リズム、気分障害、がんの治療でこの両方の受容体が標的とされており、MT2は2型糖尿病にも関与しているとされている。今回我々は、ヒトMT2受容体について、アゴニストの2-フェニルメラトニン(2-PMT)およびラメルテオンと複合体を形成した状態のX線自由電子レーザー(XFEL)構造(分解能はそれぞれ2.8 Åと3.3 Å)と、機能関連変異体のH2085.46A(上付き文字はBallesteros–Weinstein方式での残基番号)とN862.50Dの、2-PMTとの複合体を使って得られた2つの構造を報告する。MT2の構造と同時掲載のもう1つの論文で報告しているMT1の構造との比較から、オルソステリックリガンド結合部位の残基が保存されているにもかかわらず、コンホメーションの著しい違いに加えて、[3H]メラトニンの解離の速度論的性質に差異が見られることが分かり、これによってメラトニン受容体サブタイプ間の選択性の違いに関する手掛かりが得られた。側面にあって膜に埋め込まれたリガンド進入チャネルはMT1とMT2の両方で観察されたが、MT2構造では、これに加えて受容体の細胞外部分に溶媒の方へ向いた狭い開口部があるのが明らかになった。2つの受容体の両方で見られる膜内へのリガンド進入が重要な役割を担うことを裏付ける機能的および速度論的データが得られ、またMT2には細胞外からの進入経路もある可能性が示唆された。今回の知見は、メラトニン受容体サブタイプの選択性やリガンドへの接近様式の分子レベルでの解明に関わるもので、この結果は選択性が極めて高いメラトニンツール化合物や治療薬の設計に不可欠である。

