古生物学:ジュラ紀の新たなスカンソリオプテリクス類と獣脚類恐竜における皮膜状の翼の消滅
Nature 569, 7755 doi: 10.1038/s41586-019-1137-z
脊椎動物の羽ばたき飛行は、翼竜類、鳥類、コウモリ類で個別に進化し、翼を形作る骨性要素および表皮構造の構成はそれぞれで異なっている。翼竜類およびコウモリ類は初期の化石記録が乏しいが、非鳥類型羽毛恐竜およびステム群に近い鳥類については、主として中期ジュラ紀から後期ジュラ紀、そして前期白亜紀に由来する証拠が主に中国で次々と発見されており、これらの化石記録によって鳥類の飛行の起源が徐々に解明されつつある。一連の化石は、飛行の起源に近いところで、鳥類に近縁の恐竜類が多様な翼の構造を試していたことを示している。中でも最も驚くべきものの1つに、スカンソリオプテリクス類(獣脚類マニラプトル類)のイー(Yi qi)が持つ皮膜状の翼がある。この飛行器官は、翼竜系統およびコウモリ系統で用いられてきたものだが、獣脚類ではそれまで知られていなかった。この知見は広く受け入れられたわけではなかった。今回我々は、新たに発見された後期ジュラ紀のスカンソリオプテリクス類を、新属新種Ambopteryx longibrachiumとして記載報告する。この標本は、スカンソリオプテリクス科では皮膜状の翼と尖筆状突起(styliform element)が広く存在していたことを支持するとともに、この謎めいた獣脚類クレードの食性に関する証拠をもたらしている。分析の結果、翼の構造における著しい変化がスカンソリオプテリクス科と鳥類系統との間の分岐近くで進化し、これら2つのクレードが大きく異なる道筋を経て飛翔を身に付けたことが明らかになった。スカンソリオプテリクス類に認められる細長い前肢に支えられた皮膜状の翼は、おそらく飛翔行動の試みとしては長続きせず、その後の原鳥類(Paraves)の進化の過程で羽毛を有する翼が最終的に選ばれたと考えられる。

