Letter

物性物理学:衝撃波圧縮した超イオン水氷のナノ秒X線回折

Nature 569, 7755 doi: 10.1038/s41586-019-1114-6

1912年にブリッジマンが固体の水(H2O)の5種類の氷相を発見して以来、H2Oの並外れた多形に関する研究によって、17種類以上の結晶氷といくつかの非晶質氷の構造や、豊富な準安定性、速度論的効果が報告されている。この特異な挙動の一因は、弱い分子間水素結合の幾何学的フラストレーションと、軽い水素イオン(陽子)のかなり大きな量子運動である。特に興味深いのは、H2Oは、100 GPaを超える超高圧と2000 Kより高い温度にさらされると、液体のように振る舞う陽子が酸素の固体格子中を拡散する超イオンになるという予想である。数値シミュレーションからは、酸素固体格子の空サイトを通る陽子の特徴的な拡散によって、(1)センチメートル当たり100ジーメンス以上という、典型的な金属の(電子)伝導率と同程度の予想外に高いイオン伝導率が生じ、(2)氷の融点が数千ケルビンまで大きく上昇し、(3)酸素格子が稠密充填した新しい氷構造が有利になることが示唆されている。実験室で、そのような高温・高密度のH2Oを閉じ込めるのは極めて困難であるため、実験データは少ない。水氷VIIのユゴニオ曲線(衝撃状態の軌跡)に沿った最近の光学測定結果からは、超イオン伝導の証拠と、融解の熱力学的特徴が示されているが、超イオンの氷の微視的構造は確認されていない。今回我々は、レーザー駆動衝撃波を使って、液体水の試料を同時に100〜400 GPaまで圧縮し2000〜3000 Kまで加熱した。in situ X線回折測定結果からは、こうした条件下で、水は数ナノ秒以内にナノメートルサイズの氷結晶粒へと凝固し、結晶粒は超イオン水氷の結晶質酸素格子の紛れもない証拠であることが示された。このX線回折データからはまた、これらの極端条件での氷の圧縮率と、体心立方晶氷相(おそらく氷X)から新しい面心立方晶の超イオン氷相への温度と圧力に誘起された相変態を立証することもでき、我々はこれを氷XVIIIと名付けた。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度