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言語学:シナ・チベット語族が後期新石器時代の中国北部で生じたことを示す系統学的証拠
Nature 569, 7754 doi: 10.1038/s41586-019-1153-z
人類の集団やその文化の歴史を理解する上で、言語の起源と分岐に関する研究は重要である。シナ・チベット語族は、インド・ヨーロッパ語族に次ぐ世界で2番目に大きな言語群であり、その系統関係および最初の分岐の時間的深度については長く議論が続いている。今回我々は、ベイズ系統解析を行い、シナ・チベット語族の起源に関する相反する2つの仮説、「北部起源説」と「西南部起源説」を検証した。北部起源説は、シナ・チベット諸語の最初の拡大が約6000〜4000年前(1950年を基点とするBP年代)に中国北部の黄河流域で起こり、この拡大は新石器時代の仰韶文化や馬家窯文化の発展と関連していた、としている。一方の西南部起源説は、シナ・チベット諸語の初期の拡大が9000年前(BP)以前に中国の四川省西南部地域、またはインド北東部で起こったとするもので、これらの地域には現在、極めて多様なチベット・ビルマ語派が存在する。109の言語の949の語彙的な語根の意味について行った我々のベイズ系統解析の結果からは、北部起源説と一致して、シナ・チベット諸語の分岐の時間的深度が約7800〜4200年前(BP)と推定され、約5900年前(BP)という平均値が得られた。さらに、今回の系統解析の結果からは、シナ語派とチベット・ビルマ語派との間の二分性も裏付けられた。我々の結果は、考古学的記録や、中国での農業拡大に関する農耕言語拡散仮説とも一致する。今回の知見は、東アジアにおける先史時代の人類活動に関する学際的な研究を進展させるための言語学的な足掛かりとなる。

