材料科学:コンビナトリアル手法によって開発された高温バルク金属ガラス
Nature 569, 7754 doi: 10.1038/s41586-019-1145-z
金属ガラスは1960年に発見されて以来、さまざまな元素に基づくものが開発されてきた。しかし、ガラス形成組成の理論的予測は困難であり、特定の性質を示す合金の発見は、これまで主に試行錯誤の結果であった。バルク金属ガラスは従来の金属構造材料を上回る強度と弾性を示す可能性があるが、こうしたガラスの機械的特性はガラス転移温度に大きく依存する。バルク金属ガラスは、ガラス転移温度に近づくと塑性流動が起こり、準静的強度が大幅に低下する。ガラス転移温度が1000 Kを超えるバルク金属ガラスが開発されているが、その過冷却液体領域(ガラス転移温度と結晶化温度の間の領域)が狭いことから、熱可塑成形性が非常に低く、実用性が限られている。今回我々は、ガラス転移温度が最高1162 K、過冷却液体領域が既存の大半の金属ガラスより広い136 Kであるイリジウム/ニッケル/タンタル金属ガラス(およびこれにホウ素を加えた金属ガラス)の設計について報告する。今回のIr–Ni–Ta–(B)ガラスは、1000 Kでの強度が3.7 GPaと、既存の合金と比較して高温で高い強度を示す。そのガラス形成能は、3 mmの臨界鋳造厚さで特徴付けられる。これは、熱可塑成形によって高温用や過酷な環境用の小型部品が容易に得られることを示唆している。我々は、目的の合金を特定するために、過去に報告されたガラス形成能と電気抵抗率の相関を利用した簡便なコンビナトリアル手法を用いた。この手法は非破壊的なので、同じライブラリーの試料のさまざまな物理的特性を続けて試験できる。高強度・高温バルク金属ガラスを特定することによって例証された今回の設計・発見方法の実用性は、エキサイティングな特性を持つ他のガラス合金の発見を可能にする幸先の良い成果である。

