生態学:海生外温動物は陸生外温動物よりも温暖化に対して脆弱である
Nature 569, 7754 doi: 10.1038/s41586-019-1132-4
気候変動が進行する中で、温暖化の影響が最も深刻となる種および生態系を理解することは、保全および管理を導く上で重要になってくる。海洋動物相も陸上動物相もすでに温暖化の影響を受けているが、海洋と陸域の間での生理的感受性の明確な比較は行われていない。極端な温度は頻繁に個体群応答を引き起こすが、動物相は局地的な温度的レフュジア(避難地)を用いて極端な温度を回避できることもあり、各個体群がそれぞれの高温限界にどれだけ接近して生息しているのかを評価することは困難であった。今回我々は、全ての緯度において、海生外温動物は陸生外温動物よりも、経験している時間体温(hourly body temperature)が高温限界に近いことを明らかにする。ただしこの傾向は、陸生動物種が温度的レフュジアを利用できる場合に限られる。この温度安全域(thermal safety margin)は、個体群の減少を直接予測するものではないが、温暖化によって引き起こされる生理的ストレスの指標となる。陸上では、時間体温が最高となる中緯度に生息する種で温度安全域が最も狭かったのに対し、海洋種で温度安全域が最も狭かったのは赤道付近に生息する種であった。また、海洋での温暖化に関連した局地的絶滅の頻度は陸上の2倍であることが分かり、これは海洋の方が温度安全域が狭いことと一致する。我々の結果は、これら2つの領域では温度に関する脆弱性を悪化させる過程が異なることを示唆している。海洋で温暖化に対する感受性が高く、移住速度が速いことは、海洋では局地的絶滅の頻度が高く種の交代が迅速であることを示唆している。対照的に、陸上の種は温度的レフュジアが利用不能となることに対してより脆弱であると見られ、これは陸上では生息地の分断化および土地利用の変化が種の喪失の極めて重要な駆動要因になることを示している。

