Letter
神経科学:MDMAによる社会的報酬学習臨界期のオキシトシン依存的再開
Nature 569, 7754 doi: 10.1038/s41586-019-1075-9
臨界期とは、正常な神経回路の構築や学習に必要な特定の環境刺激に対して神経系が特に敏感になる発生上の一時期を指す。臨界期の機構的特徴の研究によって、初期発達中の脳の旺盛な可塑性や、脳の成熟につれてこれらの機構にかかる制限に対して臨界期が重要な役割を持つことが明らかになっている。病的状態において臨界期が終了すると、最適条件が回復したときでさえも脳の順応能力は制限されてしまう。従って、臨界期を再開する手段を見つけることは、トランスレーショナル神経科学にとって重要である。今回我々は、側坐核でオキシトシンが媒介するシナプス可塑性(長期抑圧)の発達調節が、社会的報酬学習の臨界期を確立するという証拠を示す。さらに我々は、MDMA((+/−)-3,4-methylendioxymethamphetamine)の単回投与が、社会的報酬学習の臨界期を再開させ、オキシトシン依存的な長期抑圧のメタ可塑的な上方制御を引き起こすことを示す。MDMAによる臨界期の再開には、側坐核のオキシトシン受容体の活性化が必要で、側坐核内のオキシトシン含有神経終末を刺激することで再現できた。これらの知見は、社会性の異常を特徴とする神経発達疾患や、社会的影響に応答する、または社会的負傷の結果として起こる障害の病因の理解に重要な意味を持つ。

