構造生物学:ヒトLAT1–4F2hcヘテロ二量体型アミノ酸輸送体複合体の構造
Nature 568, 7750 doi: 10.1038/s41586-019-1011-z
L-アミノ酸輸送体1(LAT1;別名SLC7A5)は、大型中性アミノ酸の膜を横切る移動をナトリウムおよびpH非依存的に引き起こす。LAT1は、アミノ酸-ポリアミン-有機カチオン・スーパーファミリーに属する対向輸送体で、甲状腺ホルモンや医薬、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンのようなホルモン前駆体の膜透過にも関わっている。LAT1の過剰発現は広範にわたる腫瘍細胞で観察されており、従って抗がん剤の標的候補である。LAT1は、II型膜糖タンパク質の1つでLAT1の安定性と細胞膜への局在に必須の4F2hc(4F2 cell-surface antigen heavy chain;別名SLC3A2)と共に、ヘテロ二量体型アミノ酸輸送体複合体を形成している。LAT1–4F2hc複合体については、細胞を用いた詳しい特性解析と細菌ホモログでの構造決定が行われたにもかかわらず、LAT1と4F2hc間の相互作用や複合体の作用機構はほとんど明らかになっていない。今回我々は、ヒトLAT1–4F2hcについて、単独の状態と阻害剤2-アミノ-2-ノルボルナンカルボン酸と複合体を形成した状態のクライオ(極低温)電子顕微鏡構造(分解能はそれぞれ3.3 Åおよび3.5 Å)を報告する。LAT1は、内向きに開いたコンホメーションをとっている。LAT1は、ジスルフィド結合による連結に加えて、細胞外側、膜内、細胞内側で4F2hcと広範にわたって相互作用している。生化学解析から、4F2hcは複合体の輸送活性に必須であることが明らかになった。まとめると、今回の特性解析によって、LAT1–4F2hc複合体の構造が明らかになり、その機能および疾患と関連する可能性がある作用機構についての知見が得られた。

