Letter
光物理学:無秩序媒質中のコヒーレント完全吸収によるランダム反レージング
Nature 567, 7748 doi: 10.1038/s41586-019-0971-3
非エルミート波動工学は、基本的現象や応用指向現象の両方を調べる、動きの速い新しい分野である。コヒーレント完全吸収はそうした現象の1つで、この効果は、全ての放射損失が光学利得と厳密に釣り合うレージングしきい値における放射のコヒーレント放出の時間反転過程に相当するため、「反レージング」と一般に呼ばれている。コヒーレント完全吸収体(CPA)はいくつかの実験構成で実現されているが、無秩序媒質(工学的構造のない媒質)におけるCPAは明らかな例外である。そのような「ランダムCPA」は、無秩序内部の多重散乱によって光が共鳴的に増強される「ランダムレーザー」を時間反転したものであると思われる。この散乱過程は複雑なため、ランダムレーザーが放出する光場も空間的に複雑で、通常のレーザービームのようには集束されない。従って、ランダムCPA(すなわち「ランダム反レーザー」)の実現は、あらゆる自由度でそうした光場を時間反転して、無秩序媒質に当たると完全に吸収されるコヒーレント放射を生成するのと同等な操作が必要なため、困難な課題である。本論文では、マイクロ波技術を使ってランダム反レーザーを作製し、この反レーザーの適切に調整した入射放射場をほぼ完全な効率で吸収する能力を実証したことを報告する。こうした光場パターンを決定する今回の方法は、無秩序媒質の散乱特性の遠距離場測定のみに基づくため、波動を完全に集束し、伝送し、吸収する必要がある他の応用にも適している可能性がある。

