免疫学:S-ゲラニルゲラニル-L-グルタチオンはヒトB細胞の閉じ込め受容体P2RY8のリガンドである
Nature 567, 7747 doi: 10.1038/s41586-019-1003-z
胚中心は、抗体の多様化と親和性成熟に重要な部位で、B細胞悪性腫瘍の共通の起源でもある。胚中心は、運動性細胞で構成されるが、B細胞濾胞内にしっかり閉じ込められている。この閉じ込めを促進する合図は完全には解明されていない。P2RY8は、Gα13共役受容体の1つで、リンパ組織でB細胞の移動の抑制を仲介し、その増殖・成熟を調節する。P2RY8は、胚中心B細胞型びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB-DLBCL)やバーキットリンパ腫で変異が見られることが多く、この受容体のリガンドはいまだ特定されていない。今回我々は、P2RY8のリガンドの探索を行い、マウスの胆汁中およびマウスやヒトのいくつかの細胞株の培養上清中にP2RY8の生物活性を見いだした。7段階の生化学的分画手順と脱離質量分析の手法を用いることで、これまで報告されていなかった生体分子S-ゲラニルゲラニル-L-グルタチオン(GGG)が、リンパ組織においてナノモルレベルで検出可能な強力なP2RY8リガンドであることが分かった。GGGは、ヒト胚中心B細胞や濾胞性ヘルパーT細胞のケモカインによる移動を抑制し、胚中心B細胞でリン酸化AKTの誘導に拮抗した。濾胞樹状細胞に高発現する酵素γ-グルタミルトランスフェラーゼ-5(GGT5)はGGGを代謝してP2RY8を活性化できないようにすることも分かった。GGT5の過剰発現により、P2RY8が胚中心へのB細胞の閉じ込めを促進する能力が障害されたことから、GGT5がリンパ組織でGGGの勾配を確立することが示された。この研究は、GGGが胚中心応答の構築および制御に関与する細胞間シグナル伝達分子であることを明らかにしている。P2RY8座位は、GCB-DLBCLやバーキットリンパ腫に加え、他のいくつかのタイプのがんで変化しているので、GGGは多数のヒト組織で組織化や増殖調節の役割を持つ可能性が考えられる。

