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細胞シグナル伝達:p53は尿素回路を介してアンモニア代謝を調節し、ポリアミン生合成を制御する
Nature 567, 7747 doi: 10.1038/s41586-019-0996-7
がん細胞では代謝過程の変化が見られ、通常は代謝が亢進していて、それによって細胞活動の維持に不可欠な高い需要が満たされている。このような条件下では、代謝過程の亢進に伴ってアンモニアが産生されるが、腫瘍細胞が過剰なアンモニアを処分する仕組みや、アンモニアの蓄積によってどのような結果が生じるのかは解明されていない。今回我々は、ヒトの腫瘍で変異していることが最も多い遺伝子にコードされている腫瘍抑制因子p53が、尿素回路の抑制によってアンモニア代謝を調節していることを明らかにする。p53は、尿素回路の遺伝子であるCPS1、OTC、ARG1の転写を下方調節することによって、in vitroでもin vivoでも尿素の生成とアンモニアの除去を抑制し、それが腫瘍増殖の阻害につながる。逆に、これらの遺伝子が下方調節されると、ユビキチンリガーゼのMDM2を介した機序によってp53が活性化される。さらに、アンモニアが蓄積されるとポリアミン生合成の律速酵素であるODCのmRNA翻訳が大幅に低下し、これによってポリアミン生合成と細胞増殖が妨げられる。まとめるとこれらの知見は、p53と尿素生成およびアンモニア代謝を結び付けるものであり、またポリアミン生合成と細胞増殖の制御にアンモニアが果たす役割を明らかにしている。

