免疫学:ヒトB細胞受容体レパートリーにおいて高頻度で共通したクロノタイプ
Nature 566, 7744 doi: 10.1038/s41586-019-0934-8
ヒトゲノムには約2万のタンパク質をコードする遺伝子が含まれているが、鋳型に依存しない連結結合による遺伝子断片の組換えで生じる適応免疫系の抗原受容体コレクションのサイズは(遺伝子数に比べて数桁大きいことは明白だが)分かっていない。また、個人がそれぞれに独自(私有)のレパートリーを持つのか、あるいは多くの構成要素が共通(共有)のレパートリーなのかは確立されていない。今回我々は、複数の被験者において組換えられて発現しているB細胞受容体遺伝子の塩基配列解読を行い、B細胞受容体レパートリーのサイズと、そのレパートリーが被験者間でどの程度共通しているかを決定した。実験の結果、各被験者の循環血中のレパートリーには900万~1700万のB細胞クロノタイプが含まれることが明らかになった。今回の3人の被験者では多くのクロノタイプが共通していて、B細胞重鎖クロノタイプの1~6%が2人の被験者間で共通(3人全てに共通したクロノタイプは0.3%)、λ軽鎖あるいはκ軽鎖の20~34%が2人の被験者間で共通していた(3人全てに共通したλ軽鎖は16%、κ軽鎖は22%)。B細胞クロノタイプの一部は、そのクロノタイプ系統内に数千のクローン(体細胞バリアント)を含んでいた。これらの共通した系統の一部は共通抗原への曝露によって生じる可能性があるが、臍帯血試料や成人の全レパートリーにおいても共通したクロノタイプが特定されていることから、共通したレパートリーが外来抗原への曝露歴のみによって形成されるわけではない。B細胞レパートリーにおいて共通したクロノタイプが予想よりも高い割合で生じており、これらの共通したクロノタイプの塩基配列が明らかになったことで、健康および疾患におけるB細胞免疫レパートリーの役割をより深く理解できるようになるだろう。

