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神経科学:恐怖障害の精神療法の基盤となる神経回路
Nature 566, 7744 doi: 10.1038/s41586-019-0931-y
ABS(alternating bilateral sensory stimulation;左右の脳への交互の感覚刺激)を用いる精神療法が心的外傷後ストレス障害の治療に使われている。しかし「眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)」とも呼ばれるこの療法の、長期に持続する効果を引き起こす神経基盤は、いまだに明らかにされていない。今回我々は、中脳上丘(SC)によって駆動される神経経路が、恐怖の持続的減弱を仲介することを明らかにする。我々は、マウスで、視覚的なABSと恐怖消失の際の条件刺激を組み合わせて、恐怖の長期減弱を起こすことに成功した。試験された視覚刺激のタイプの中で、ABSが最も強い恐怖減弱効果を示し、SCと背内側視床(MD)の持続的活性化をもたらした。光遺伝学的操作により、SC–MD回路が、恐怖の再発を防ぐのに必要かつ十分であることが明らかになった。ABSは、恐怖を符号化している細胞の活動を抑え、MDからのフィードフォワード抑制回路を介して底外側扁桃体内の抑制性神経伝達を安定させた。まとめると、これらの結果から、外傷記憶の持続的減弱に効果的な戦略の基盤にある神経回路が明らかになった。

