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構造生物学:酸素発生型光合成での複合体I様分子NDHの構造

Nature 566, 7744 doi: 10.1038/s41586-019-0921-0

光化学系I(PSI)の周りの循環的な電子の流れは、光合成生物が効率的な光合成に必要なATPとNADPHのレベルを釣り合わせるための機構である。NAD(P)Hデヒドロゲナーゼ様複合体(NDH)は、ほとんどの酸素発生型光合成生物でこの経路の重要な要素であり、大型の光合成膜タンパク質複合体の中でその構造がまだ知られていない最後のものである。NDHは呼吸鎖のNADHデヒドロゲナーゼ複合体(複合体I)と近縁で、PSIから生じた電子をプラストキノンプールへと送達する一方で、チラコイド膜を越えるプロトン輸送を行い、それによってNADP+分子が還元される際に生成されるATP量を増やしている。NDHは、コア複合体Iの14個のサブユニットのうちの11個に加えて、酸素発生型光合成特異的(OPS)サブユニット(シアノバクテリアから植物まで保存されている)を複数含んでいる。しかしNDHには、コア複合体I中でNAD(P)Hからの電子の受け取りに関わる3個のサブユニットが欠けているという特徴がある。そのため、NDHが電子を受け取ってプラストキノンに渡す仕組みは明らかになっておらず、OPSサブユニット、具体的にはNdhSが、NDHへの電子供与体であるフェレドキシンからの電子の受け取りを可能にしていると考えられている。今回我々は、好熱性シアノバクテリアThermosynechococcus elongatus BP-1由来の0.42 MDaのNDH複合体の、単粒子クライオ(極低温)電子顕微鏡法によって得られた3.1 Å分解能の構造を報告する。我々のマップから、NDH複合体中の主要なOPSサブユニットの構造と配置に加えて、周辺のアーム中のプラストキノン結合部位に近い位置にある予想外の補因子1個が明らかになった。OPSサブユニット群が占める位置は、電子伝達で担う役割を裏付けており、周辺アーム先端にある2つのフェレドキシン結合部位と思われるものが明らかになった。これらの結果は、NDHには複数の電子伝達経路があって、それらはプラストキノン還元を最大にし、セミプラストキノンラジカルが有害なオフターゲット化学反応を起こすのを回避するのに使われているらしいことを示唆している。

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