ナノスケールデバイス:二次元MoS2によって可能になったWi-Fi帯域ワイヤレスエネルギーハーベスティング用のフレキシブルレクテナ
Nature 566, 7744 doi: 10.1038/s41586-019-0892-1
二次元材料は、その機械的特性や電子的特性によって、フレキシブルエレクトロニクスでの使用が期待されている。二次元材料は、厚さが原子レベルで大規模合成が可能であるため、普通の物体を分散型知的センサーネットワークに変え得る「スマートスキン」の開発が可能になるかもしれない。しかし、そうした分散型電子システムの多くの重要な部品(例えば、二次元材料に基づくトランジスター、センサー、メモリー素子など)はすでに実証されているが、自己給電システムに不可欠な、高効率でフレキシブルな常時稼働するエネルギーハーベスティングソリューションはまだない。2.4 GHzおよび5.9 GHzで動作するWi-Fiシステムからの電磁放射は、至る所に存在するようになってきており、未来の分散型電子デバイスへの給電用のハーベスティングに理想的と思われる。しかし、フレキシブル半導体でできた高周波ハーベスター(すなわちレクテナ)では、輸送特性に限界があるため、Wi-Fi通信に用いられている高周波を捉えにくい。今回我々は、MoS2半導体相–金属相ヘテロ接合に基づく原子レベルの薄さのフレキシブルレクテナを実証する。このレクテナのカットオフ周波数は10 GHzであり、現在の最先端のフレキシブル整流器と比較して速度は約1桁速い。このMoS2系フレキシブル整流器はX帯(8~12 GHz)まで動作し、Wi-Fiチャネルを含む免許不要の産業用・科学用・医療用無線帯域の大半をカバーしている。我々は、超高速MoS2整流器とフレキシブルWi-Fi帯域アンテナを集積化することによって、外部バイアスゼロ(電池不要)でWi-Fi帯域の電磁放射のワイヤレスエネルギーハーベスティングを実現する、完全にフレキシブルな集積型レクテナを作製した。さらに、このMoS2整流器はフレキシブル混合器としても機能し、10 GHzを超える周波数変換を実現した。今回の研究は、さまざまなフレキシブル電子システムと集積化できる汎用エネルギーハーベスティング構成要素をもたらす。

