Article
神経科学:前頭皮質の持続的活動の基盤をなす離散型アトラクター動態
Nature 566, 7743 doi: 10.1038/s41586-019-0919-7
短期記憶は時間的に離れた事象、例えば過去の知覚と未来の行動とを結び付ける。短期記憶は、数秒間維持できる選択的で持続的な神経活動などの緩徐な神経動態と相関している。短期記憶を必要とする遅延応答課題では、マウスの前外側運動皮質(ALM)ニューロンが持続的活動を示し、これが未来の行動を指示する。今回我々は、この持続的活動の基盤となる原理を調べるために、細胞内および細胞外の電気生理学的記録と、光遺伝学的擾乱およびネットワークのモデル化とを組み合わせて検討した。その結果、ALMニューロンの活動は、遅延時間の間に、特定の運動方向に対応する離散した終着点に向かって移動したことが分かった。光遺伝学的な擾乱によってALMの活動を一時的に移動させても、これらの終着点はほとんど変化しなかった。擾乱によって集団活動動態が異なる終着点に切り替わることがあり、それに続いて誤った行動が起きた。今回の結果は、離散型アトラクター動態が、運動計画と関連した短期記憶の基盤にあることを示している。

