計算創薬:超大型ライブラリーを使った新規化学種発見のためのドッキング実験
Nature 566, 7743 doi: 10.1038/s41586-019-0917-9
化合物空間(chemical space)を広げることには強い関心が持たれているにもかかわらず、数億から数十億種の多様な分子を含むライブラリーは、これまで作られていなかった。今回我々は、性質がよく調べられている130種の反応によってオンデマンドで作られる1億7000万種類の化合物の構造に基づくドッキングについて調べた。作られたライブリーは多様性に富み、これ以外の方法では得られない1070万種を超える骨格が示されている。ライブラリーの各化合物について、AmpC型β-ラクタマーゼ(AmpC)とD4ドーパミン受容体に対するドッキングをシミュレーションした。そして、最上位にランク付けされた分子の中からAmpCに対しては44の化合物を、D4ドーパミン受容体に対しては549の化合物を実際に合成し、相互作用をそれぞれ検証した。その結果、AmpCのフェノラート阻害剤が見つかり、これから前例がない阻害剤グループが明らかになった。この分子を最適化したところ、77 nMという阻害定数が得られ、これは既知の非共有結合性AmpC阻害剤では最も強力なものに入る。この分子と他のAmpC阻害剤の結晶構造から、ドッキング予測が確認された。D4ドーパミン受容体に対しては、ヒット率がドッキングスコアに応じて単調に下がり、ヒット率対ドッキングスコア曲線から、ライブラリーにはD4ドーパミン受容体のリガンドが45万3000種含まれると予測された。新たに見つかった81の新しい化学種のうち30がマイクロモル以下で活性を示し、その1つはD4ドーパミン受容体のサブタイプ選択的アゴニストで、180 pMで完全アゴニストとなることが分かった。

